イグちゃんの冒険


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 イグちゃんは、自分の見た夢の島のことで頭がいっぱいになっていたので、ドアが開いた瞬間にトットコ飛び出していったのでしたが、ふーさんもにゃあさんも買い物してきた荷物や、チクワちゃん、グリちゃん、モモちゃんの長いしっぽに気を取られていて、イグちゃんが出ていったのに気がつかなかったのです。
 トットコ、トットコ、ふーさんのうちは、マンションの5階なので、イグアナの短い手足で降りるのはなかなか大変です。「ふぅ〜やっと地面についたよ。え〜っと、南の島はどっちかな?・・・あれ?チクワ達は来ないのかな?・・・そ〜だ、ふーさんに行って来ます、を言うのも忘れてたな。」イグちゃんは、5階分の階段を見上げながら、少し心配な気分になりましたが、どうしてもあの島へ行きたかったので、よしっ!と覚悟を決めて、トコトコ歩き始めました。
 「そうだ!まぁちゃんちのあーさんとかーさんなら、南の島がどこにあるか知ってるかもしれないわ。まず、まぁちゃんちに行ってみよう。」
 まぁちゃんは、ふーさんにピアノと英語を習っている1年生の可愛い女の子で、あーさんとかーさんは、まぁちゃんのうちにいるミシシッピアカミミガメの兄弟です。イグちゃんは、まぁちゃんのうちを目指して、一生懸命歩きます。トコトコ・・・と。

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 ブブーッ、おっと危ない!!道路を渡ろうとしたイグちゃんは、もう少しで車にぶつかるところでした。「あ〜ビックリしたぁ。ふーさんちのベランダから見た時には、車ってもっと小さく見えたのに〜気をつけなくちゃあ。」
 トコトコ・・・トコトコ・・・しばらく歩いていくと、子ども達が遊んでいる公園がありました。公園には、イグちゃんの好きなクローバーやペチュニアの花が、たくさん咲いています。イグアナは、おやつにお花やクローバーの葉っぱを食べるんです。「あ〜ずいぶん歩いて疲れたし、少し公園で休んでいこうかな。」と、イグちゃんはトコトコ、公園へ入っていきました。
 イグちゃんがペチュニアのピンクの花をパクパク食べていると、子ども達が「わ〜、イグアナが花を食べてる〜」と言いながら集まってきました。「あら。このイグアナ、ピアノの先生のおうちのイグちゃんだ。」とひとりの女の子が言います。すると、その子のお兄ちゃんらしい男の子が「じゃあ、捕まえて連れて帰ってあげよう。」って、イグちゃんを捕まえようとしました。「捕まえちゃイヤよ!」と、イグちゃんは、大急ぎで公園から逃げ出しました。

イグ


    

  つづき