イグちゃんの冒険9

 イグアナは、普段はのんびりしていますが、ビックリしたり、逃げ出す時は、とっても速く走ります。タッタカタータッタッタ・・・イグちゃんがとっても速く走ったので、子ども達は誰もイグちゃんを捕まえられませんでした。
「あ〜、こんな所で捕まっちゃったら、まぁちゃんちのあーさん、かーさんに南の島へ行く道を教えてもらえないわ。危ない、危ない・・・人間ってすぐイグアナを捕まえようとするのかしら・・・見つからないように、気をつけて歩かなくちゃね。」
 トコトコトコトコ・・・イグちゃんは、道の端っこの草に隠れるようにして歩いていきます。グリーンイグアナのイグちゃんは、黄緑色と茶色が混ざったような体の色なので、道の端っこを歩くと、あんまり目立たなくなります。「え〜と、ふーさんちのベランダからは、まぁちゃんちのマンションがよく見えていたけど、地面を歩くと全然見えないし、たぶん、こっちの方向でいいのよね。このパン屋さんの角を曲がって、と・・・あっ、痛〜い。」イグちゃんは、角を曲がった途端にドッシーンと、何か茶色い毛むくじゃらにぶつかりました。

イグちゃんの冒険10

 「お〜い、黄緑の長〜いしっぽの君、大丈夫? あんまり見かけない変な奴だねぇ。君って何者なの?」それは、とても大きな犬でした。
 「変な奴なんて失礼ね〜。そっちこそ、毛むくじゃらで変じゃないの。」イグちゃんは、ちょっと怒って首を振りながら言いました。
 茶色の犬は、「あれ、怒っちゃった? ごめん、ごめん、僕はまぁちゃんのおばぁちゃんちに住んでいるベイだよ。そういえば、まぁちゃんから、ふーさんちにはしっぽの長〜い、黄緑色のイグアナが4匹いるって、聞いたことがあるよ。君ってもしかしたら、ふーさんちのイグちゃんじゃないの?」と優しく言いました。
 「な〜んだ、まぁちゃんのおばあちゃんちの犬のことなら、私だってふーさんから聞いたことがあるわ。えっと、確か4匹いるって・・・あなたが茶色のベイなら、あとの3匹は黒いでしょ?・・・・・ふ〜ん、犬ってこんなに毛むくじゃらで大きいんだ。」イグちゃんは、ベイが大きいので、はじめは怖かったのですが、ベイが優しそうだし、ふーさんとまぁちゃんを知っているのでホッとしました。

チクワ



つづき